今はとても、頭の中が、ずっと静かだ。 死んでしまおうか、と、この頃はまた考える。けれどもそれはもはや以前のような切羽詰まった感情ではなく、とても静かに、当然のことのように、思う。 以前のように、強く、「生きていたい」とも思わない。ただ、時折…

ユリイカの2008年1月号が南方熊楠特集。 このままで平気だろうと思う、わたしはここから強かな神経を編み上げてごくふつうに生きてゆけるようになれるのかもしれない。 そしてわたしは自分の話していた言葉の使い方を徐々に忘れてゆく。 わたしがまったく違…

朝方、あまりにも気分良く空が晴れていたので、恋人とお茶をしにゆくことにした。 (クリスマスイヴなのだし) 西岡兄妹の「心の悲しみ」を読みながらバスに乗った。時刻表を読み間違えて遅刻だった。陽の光が無色透明からすこし橙色かかってきていて不安に…

自分の中での、良し悪し、好き嫌いの判断基準を失うほど落ちぶれてはいない。けれど落ちぶれてしまう時にはきっと落ちぶれたことにも気がつかず落ちぶれてしまうのだろう。そしてなにもかも無選別に享受してしまうようになる。理論は判断の拠り所にはなるけ…

世の中にはこんなにも様々な景色があるというのにどうしてわたしは無言でいられたのだろうか。

「90年代はもう終わっちゃったんだよ」 「岡崎京子もフリッパーズギターももういない」

愛しいもの

部屋の中の波打ち際で桜貝をいくつかみつける。 桜貝は健やかな女の子の爪のような色と光り方をしていた。 この部屋にはたくさんのものが流れ着いて去ってゆかない。 わたしはぐずぐずと暖かい布団の中で羽化しない蛹になり腐ってゆき、やがて誰にも見向きさ…

またやけを起こして髪の毛を適当に切ったらうまくゆかなくてめちゃくちゃなわかめちゃんのようになってしまった。金田サカエちゃんみたいに丸刈りのマルガリータにしてしまえばこんなこといちいち思い悩まなくても済む。ええい刈ってしまおうか。 髪の毛に思…

目の前にあるものだけしか愛せないわたしです。 家に帰り鏡を覗き込んで絶望する。塗りたくった化け物のような知らない顔の人間がいる。化粧を落とせばまた知らない惨めな顔の人間がいる。化粧がうまくいったときだけそれが本当の顔だと思う。だからわたしは…

暗い空を見上げながら歩いていたら、赤っぽい星がすうっと消えるのを見た。ある人が言うには、「きっと星が死んだんだよ」。星の光は遠い。わたしの眼球に届くまでどれだけの時間を経ているのか。その星が死んだのはわたしが生まれるよりか前のことかもしれ…

生活のいちいちが美しくてそれにばかり目を奪われてしまう。たとえば今日の五時、西の空にあった黄色くて丸い月が小学校の窓にぴかぴかと映って、歩く私をゆらゆらとおばけのように追いかけてきていたこと。そしてそのときまるでまったく夜になってしまった…

5月20日の日記

だれもいない白い花の咲くりんご畑へ行ってひと氏といっしょにお弁当食べて昼寝がしたい そんな幸せだけあれば充分なのにな むにこさんが前にいってたことだけど わたしはこんなことをするために生きているんじゃないが生きていくためにはこんなことをしなけ…

「愛されてるのがただ奇跡」

弱ってしまって別れたひとにこちらから電話をかけておいてぶつんと切って電源も切ってしまった。 冷蔵庫に入っていた、いつふたを開けたのかわからないペットボトルの水を飲み込む。 わたしの心臓がどこかわたしの知らないところで動いている。そこはきっと…

「あった、これが僕の宝物だよ」

髪の毛を抜き続ける日々。 夕方、「ぼくたちの失敗」を、ぼそぼそと小さな声で森田童子の真似をしながら歌って歩いた。人気のない住宅街には金木犀の匂いが冷たく満ちていて、どうやら秋で、ただそれだけだった。もう長いこと空き地になっている場所に、セイ…

ひどく優しい自分への愛情。ひどく易しく釣り上げる同情。ひどく卑しい自分への愛情。

荒んでいる。 荒んだら気道の確保をするといい。保健体育の救命なんとかで習った、気道の確保。あれを立ったまま自分でやると、気持ちいい。あごをくっとあげて首をのけぞらし口をがばーと開ける。 気道の確保!と、こころのなかのビーチで、誠実で筋肉質で…

夜の住宅街を、ひとりで静かに歩いて帰るのもすこし楽しい。車の待っていないのに色を変える信号機。誰も渡らない横断歩道。タバコの自販機の電気しかついていないスーパー。時々通り過ぎてゆく車のヘッドライト。 真夜中の空は晴れていると暗い灰青にはっき…

自分の行動のいちいちのあさはかさに追い詰められる。 女の子は会話のテンポが早いから、考えるののおそいわたしは自分の納得ゆく返答が出来なくて落ち込んでしまう。大きな声で早くしゃべろうとすると喉の奥で唾液が熱く粘ついて、泡立つ。わたしは笑いなが…

どうして一夜にしてこうも幸せな気持ちになったり不幸せな気持ちになったり出来るんだろうかわたしは。

ぼくらのからだはくだけちる

昨日の夜中までは、目が覚めたらきっといいことがあると思っていて、今日が待ち遠しかったのに、目覚め方からして出鼻をくじかれて、まだ布団から出ることが出来ずに暗澹たる気持ちでいる。 今日は確かにいいことが起こると思っていたのに。 今朝が涼しいか…

朝早くから恋人に電話をした。 爪を伸ばしてみたり、丁寧に髪の毛を乾かしたりしてみている。 昨日、お風呂の中でずいぶんと自分が日焼けしていることに気がついた。足が、いつも履いているサンダルの模様に焼けていた。今朝も涼しい。こんなほんのすこしの…

突然に、全く忘れていた人の、笑った顔と、その笑い声を思い出す。 お元気ですか。 わたしは幼いままでいます。 ごめんなさい。 何処にもいないものを愛するほうが簡単だ。

mixi

頭のなかの空気がいろんな形をとる。その度わたしののうみそがくぷくぷいってやわらかくなってねばねば、溶けだして、耳の穴から流れだしてみんなの可愛い小さな足にふんづけられてわたしはくるしい。

夜のふきだしぐち

いないこどもになるあそび

腐ったりやさぐれたり荒んだりしながらではあるけどわたしは毎日楽しめているよ、悲しくなったり泣いたり暗くなったりするだけ、幸せをよりはっきり感じられている、たとえばスイカに塩をかけるとより甘く感じるという話みたいに。

自分の信念に反して伸ばしてきた眉毛がいい加減鬱陶しい。恋人も眉毛のあるのがいいと言うし、一般的には眉毛のある方が良いのだろうけど、のれんのように揃えた前髪の向こう側から眉毛が透けるのがいやで仕方ない、毛の生えている感じも気持ちが悪い。眉毛…

汗染みた布団に包まって、わたしは大きな幼虫になりやがて繭をつくる。

ビニール袋の中の何かを、ぱらぱらと川に捨てているおじいさんを見た。

排水溝が髪の毛でつまっていて、浴室の床に水が溜まった。水の深さではじめて、床が、入り口から奥に向かってすこし傾かせてあることに気付いた。水が溢れださないように。 流したシャンプーのへたった白い泡が曲線を描いて浮いているのがまるで波打ち際のよ…