どうして人間なんかに生まれてきたのかしら、干からびたみみずみたいにみじめな形になって泣く、 例えばわたしが人間でなかったならば、生きるためだけに生きれば良かったのに。

江ノ島マイアミセンターの思い出

海へ行きたい。 去年の6月、ひとり学校を抜け出して行った鎌倉の海は、良かった。 曇って薄暗いのに、じっとりと暑い日だった。 海へ向かう道にあった靴屋で、もう何年も日にさらしてあったような黒のビーチサンダルを買って、革靴とハイソックスを脱いで、…

学期末

近くの家の庭先に、誰かの名前の書いてある、白い小さなうわばきが、洗われて濡れて干されていた。 それが妙に光って見えて、カルキのにおいを思い出した。 夏はちゃんと来るのかな。実感としての夏。

錆びた看板、アスファルト

人に造られたものが人の手を離れた姿が好きだ。

雨の降る前

見学していた体育の授業で乾ききったグラウンドの輪郭がちゃらちゃらと透明な水が流れているみたいに震えていた。 学校の敷地内にセミの出てきた穴をみつけた。 夏がいったいいつ来たのかわからなくて戸惑う。

電車に乗っていたら、電車の向かう方向の天気が悪かったのか、それともわたしが電車に乗っている間に天気が悪くなってきたのか、目的地に近付くにつれて天気が悪くなっていった。 目的の駅につくと結局雨はザーザー降っていてわたしは傘を持っていないので制…