2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

愛しいもの

部屋の中の波打ち際で桜貝をいくつかみつける。 桜貝は健やかな女の子の爪のような色と光り方をしていた。 この部屋にはたくさんのものが流れ着いて去ってゆかない。 わたしはぐずぐずと暖かい布団の中で羽化しない蛹になり腐ってゆき、やがて誰にも見向きさ…

またやけを起こして髪の毛を適当に切ったらうまくゆかなくてめちゃくちゃなわかめちゃんのようになってしまった。金田サカエちゃんみたいに丸刈りのマルガリータにしてしまえばこんなこといちいち思い悩まなくても済む。ええい刈ってしまおうか。 髪の毛に思…

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」岡崎京子

問題あるといやなので、のちのち消すかもしれません、 まあ、ここに書いてあることはすべてフィクション、でたらめということになっているので、

記事を書いた。岡崎京子「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」を紹介する、あまり長くない文章。わたしにとってとても大切な本なので、かなり慎重に言葉を選んで書いていたら、感覚的な文章になりすぎた気がする。 もともとわたしの言葉にはその気がある…

いよいよあたまが痛い。 この学年になってから昔ほどは寝ていないのに、どうしてわたしは今のクラスでも「寝ている人」という認識になってるんだろう。 起きているときはたいてい眠たい。 ささやき声というのは、それが聞こえるくらいに静かなところでは普通…

目の前にあるものだけしか愛せないわたしです。 家に帰り鏡を覗き込んで絶望する。塗りたくった化け物のような知らない顔の人間がいる。化粧を落とせばまた知らない惨めな顔の人間がいる。化粧がうまくいったときだけそれが本当の顔だと思う。だからわたしは…

暗い空を見上げながら歩いていたら、赤っぽい星がすうっと消えるのを見た。ある人が言うには、「きっと星が死んだんだよ」。星の光は遠い。わたしの眼球に届くまでどれだけの時間を経ているのか。その星が死んだのはわたしが生まれるよりか前のことかもしれ…

木曜日、杏子さんと下北沢でふらふらとした。 このところ調子が悪いのが続いていたので、とても緊張して、正直なところすこし怯えさえしながらこの日を待っていたのだけど、すべては考えすぎだったようで、杏子さんはなんとなく飄々としていて、自分の予想と…

生活のいちいちが美しくてそれにばかり目を奪われてしまう。たとえば今日の五時、西の空にあった黄色くて丸い月が小学校の窓にぴかぴかと映って、歩く私をゆらゆらとおばけのように追いかけてきていたこと。そしてそのときまるでまったく夜になってしまった…

嘘泣きに呼気整える真夜中の

肺に溜まって夜がかなしい

おんなのこは、どんなに恐ろしくっても、鏡を恐れたら負け、恐れたらおしまい。

息が白い、よく晴れた朝は、自分と世界の境目が、自分の輪郭がはっきりとする。 行き場をなくした言葉がまたあなたに降り注いでゆく。

学校へ向かう時間は、空気が生温く澱む前で、とても良かった。光るくらいに澄んだ空気に白い息を吐きながら外を歩くのはとてもいい気分で、これから一週間難なく切り抜けられるのじゃないかとさえ思った。けれど教室へ一歩入ると、埃っぽい生暖かい空気と歓…

来週の金曜日に、学校でカウンセリングを受けることにした。保護者への連絡は必要ないと言うので、決めてしまった。 あまり好きではないと思っている保健室の先生に洗いざらい打ち明けている最中、ようやく、弱りきって参ってなりふり構わなくなっていること…

おくすりはあと二錠

朝からカフェインしかとらずにきりきりと動いていたら、夕方あたりからバランスを崩してしまった。目が霞み耳鳴りがしたので、面倒だったけれども燃料だと思って遅い昼食をとってアルバイトをした。ひたすら調子が悪くて、誰も彼もに蔑まれ疎んじられている…

カネコアツシは山田花子の影響うけてるのかなあ、そうでなかったら山田花子の呪いか、 しかしとにかく朝からからっぽの世界を読むのはよろしくない。

美しくない。ものすごい熱さえも簡単にまる飲みしてしまうような醜さでもって地面を這いずる。臓物を撒き散らしながら泣き喚きながら次の餌を探してどこまでも這いずり続ける。私はこの先ずっとそうだろう。 大切だった言葉をすべて忘れてしまった。それはそ…

数日前から、喉の奥に身体の腐っているようなにおいがするときがあって、何のにおいなのだろうと思っていた。確かにいつか経験していて、しかもとても自分に密接なにおい。それがなんだったのか、いまさっきやっと判った。膿のにおいだ。巻き爪が食い込んで…

渋谷の街は、恐れて避けるような場所ではなくなっていた。 変わったのは街ではない。 友達は折れそうに細い体で、わたしからみても心配になる量の食事をしていた。 スペイン坂のanap、すてきだったな。

不安は肺の中の小さな気泡のようだ。 きちんと食事ができない。朝食は学校へ持っていっても食べる気がしなくなってしまう。お腹がすいていても、どうにも面倒くさくて、昼食をも飛ばしてしまう。夕食を目の前にするとうんざりしてしまって、咎められない程度…