アイドル

ときどきあたまの中で、17才のときの友だちのことを考える。話しかける。
もう彼の声も言葉も覚えていないのに。
もっと言えば顔なんて直接みたことさえ無い。
この場所でやりとりしていた友だち。
しゅうちゃん、きみがいたらなんて言うの?
本当は今もどこかで生きていて、わたしのこんな感傷とは離れたかたちで、普通に大人になって、暮らしているんじゃないの?
8年経つ。
彼の初めての恋人だった女の子は結婚して新しい家族を作っている。
想像もつかない話だろうけれど、外側から見ればそんなに酷くもないようなそれぞれの状況のなかで、何人かが死んでいった。
10代の終わりはそういう季節だった。(ヒロくんは23才だったけれど)
23才になったわたしはもうどうやって生き延びようかと考えることはない。
どうやってこの先を生きてゆくかを考えている。
「心配しなくてもいいよ、あたしがいうことは確かだから。」