夜の住宅街を、ひとりで静かに歩いて帰るのもすこし楽しい。車の待っていないのに色を変える信号機。誰も渡らない横断歩道。タバコの自販機の電気しかついていないスーパー。時々通り過ぎてゆく車のヘッドライト。
真夜中の空は晴れていると暗い灰青にはっきり雲が浮かんでいて、真夜中の青空のほうがきれいだ、とおもった、遠くの方ではクレーンの赤いひかりが光っていて、街のあたりはぼんやり迷惑光で空が白んでいる。建物は黒くシルエットになって、わたしたちは地面に這いつくばっているんだと思い知る。高い鉄塔は空に突き刺さっているようだったよ。
そしてそれは写真にはうまく写らない。