生活のいちいちが美しくてそれにばかり目を奪われてしまう。たとえば今日の五時、西の空にあった黄色くて丸い月が小学校の窓にぴかぴかと映って、歩く私をゆらゆらとおばけのように追いかけてきていたこと。そしてそのときまるでまったく夜になってしまったかのような顔をしていた空のすその方のすこし明るく淡いきれいな色をしたところで、つつましやかに星が光っていたこと。