「あくまくん」のオープニングをコピーしたい

年末、知人がひとり死んで、その追悼とかこつけてはラーメンを食べている、その知人とラーメンを食べたことはない。 親の金で三鷹に一人暮らしをしていたヒロくんは純然たるニートで、職歴が全くないどころか携帯電話でメールを打つことすらまともにできない…

初夢地獄篇

わたしは女子高生で、かつてそうだったように、短いプリーツスカートを履いていた。 tさんはわたしをかつてのように「女子高生」とか「JK」とか馬鹿にしたように呼び、二人して手をつなぎ、下北沢の街を下っていった。 こんな気分だったな、とわたしは思う。…

所属団体名とかで検索かけるとこの日記ひっかかるんだろうな

西荻窪「大」行く。二郎系ラーメンに熱意を傾ける大学生によると今回の味は格別に良い回だったらしい、確かに美味しかった。殺人的ににんにく臭い吐息が白く濁って12月初めの夜、月は雲を透かして明るかった。マフラーに顔を埋めると自分の息が猫の餌みたい…

自意識

生活している自分の姿をかえりみると馬鹿馬鹿しくて文章なんて書けなくなる。今年の頭までの日記を読み返すと自意識過剰すぎて白々しいような気分になる。わたしみたいな女もこうして生活に呑まれていって、諦めて力抜いて幸福に元気に毎日生きてゆけるよう…

あの日の気分と心の揺らめき

吊り広告の文庫新刊の中に「澪つくし」という題の小説があった。働いている先の小さな古書店でもやや在庫過剰気味の、あ行から始まる名前の作家の作だった。 「澪つくし」とは、確かお醤油の名前だ。お醤油の名前を、小説の題にするのはとても変だ。 そのひ…

高円寺の駅から練馬駅へ向かうバスが出ていた。出ているのを、見た。遠くから見た。 男の人の手は、わたしのそれよりやわらかい皮膚をしていた。 今年の春もまだ寒いころに行った公園で、11月だというのにアイスを食べて 「ひかりのかんじがえいがみたい」と…

十代の悪魔

ひとがたくさんはいるそのライブハウスは、普段みにゆくようなところより高いステージがあって、わたしはフロアから自然とそれを見上げるかたちとなった。わたしのあげた上等のジャケットを着て、さいきん売れているバンドのひとたちと、そのひとはステージ…

原色日本蛾類図鑑。その乱調を見つけたのは、唯一わたしだった。

ステルス機によく似た蛾が、三日同じところへとまっている。蛾というのは、一日や二日平気で同じところへとまっていることがある。毛深い体はたしかに忍耐強そうだ。この蛾が明日飛び去ってしまっていたら、寂しいだろう。薄い白い羽の向こうの、柱のペンキ…

ステルス

これも昔の話になる

好きな人と、その人と寝ているらしい女の人と同じ部屋に泊まったことがあった。 そのひとの初対面の印象は、とてもいやだ、というものだった。 嫌ってそう思うのではなく、顔を合わせることでなにか微妙な緊張感が生まれて自分にストレスがかかるのをわたし…

 わ た し は な に も し な か っ た 

大学にはいってから酒を飲む機会が増えた 誰かと飲むから量も増えた 酒の失敗というのをするようになったそれは自分の痛みを自分のために費やすことが少なくなったということだ 耐えきれなくなってアルコールを舐めて眠るようなことは少なくなった だからど…

遅い思春期の終わり

今年の春も早い頃の携帯電話のメモに「ひとの使っている洗剤の匂いが強くて肌に染み込むので自分はそれを何度でも思い出せそうだと思った、それはまるで初めから思いだすためにあるようだと思った」というようなことが書いてあった。

こんなことずっと、続くはずないから

ひとの日記を読んでまだこんな気分になれるから、捨てたもんじゃないまだ続けられそうだ こういう文章を書くとき自分の容姿を振り返ってしまう自分の下手な化粧だとかが気にかかる 足の爪を切ったら、海の砂が詰まっていた

幻想の不思議少年

レバ刺しを食べて39度の熱を出した。すわインフルエンザかと診察を受けたところ胃腸炎だと言われた。「今日まで10日くらいの間に、何かナマモノ食べたりしましたか?」「あ、レバ刺しを」「レバ刺しなんかもう食べない方がいいですよ、ほぼ100%汚染されてま…

http://recommuni.jp/opus/package.php/10579 聡吾さんの声には17才の季節が閉じ込められている。このひとこのアルバムを最後に死んだり引退してしまうんじゃないかと思う。

知人をテレビ番組の中に見る。大橋のぞみと俳句をつくってプリンを食べている。ずっと昔に会わなくなってしまったひとだ。 テレビは探偵モノになっている。見覚えのあるビロードの緑色のジャケットを着て、自分の知る姿より、ずっと痩せてかっこよくみえる。…

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バイトをあがって、早川義夫の本を買って、下北沢のメインストリートをすこし上ると、道端でお香か何か売っているむげん堂で洋服を買っていそうな男女がいて、長い髪をアップにして肩を出した女のひとの麻のロングスカートのしたに下着をはいていない豊満な…

外がくそ晴れているというのに機密性の高い家に閉じこもっていること自体を寂しさと呼んでいい。 音楽が嫌いだ。わたしのからだが音楽に向いていない。ライブハウスへ通うのは好きだけれど音楽は嫌いだ。ギターを弾きたいとも思わない(歌うために楽器ができ…

トラウマガール

東京メトロのCMの宮崎あおいちゃんは本当に非の打ちどころなく可愛くて、特に、ブルーのラインの入った濃紺のプリーツスカートとベージュのブーツとの間に覗く膝小僧の小さい丸みが本当にかあいらしくて、ちょっと目をそらしたいような気分につき落とされる…

HugEの9月号、よみたい!ZINEがどうこう。

お前はTOKIOだろう

人工の浜辺には波が打ち寄せていて、私はSMAPのメンバーといる。 波をこちらまで呼ぼう、と浜に水を引くと、海は思うより陸へのしあがり、波が強くなって人がさらわれそうになる。 強い肉厚の波なので、浮力があって、ボードがなくとも波乗りに似たことがで…

やらしくない夢

男の子になって、女の子を抱いた。張り出た乳房は柔らかかった。 自分は懸命にやった。やったが、気が付くと女の冷ややかな視線、萎えているのだった。

まあ。

もちろん訳した方だと思うけれどわたしの書くものはサガンの文体に似ているというようなことを確かひとに言われたことがあってサガンの文章はどうだったか。思い出そうとしている。部屋には「悲しみよこんにちは」が少なくとも二冊はあるはずだがみつからな…

失望されそう

酔うとき、ああ今、わたしは酔いだしたな、と自ら感じ取る瞬間がある。それと同じように、ああ、もう、治らない傷口のようではいられないのだな、と思う。気がついた瞬間にはもうそれが決まってしまっている。

しぬべくしてしぬ

何かを許容することも上手になり突っかかる力を失っている、タフになるか、レベルを下げるかでしか、やってゆけない、平和なときお前は前に進まない、戦争のときは出血多量で死ぬ。 眠っている男の子の目蓋の下で眼球が動いている。 これが待ち望んだばか騒…

失われた高校時代を求めて

怖い記憶。「虫えい」のある、腫れた桜の葉を千切っては池に捨てたこと。

暫定セックス

マッシュルームカットになって、さっきまで首のあたりどとぐろを巻いていた髪、男のために切り男のために伸ばしてきた髪が今頃は遠く世田谷の美容室でフローリングの目に詰まっている。おかしな話だ。 下北沢で、初恋の男のひととすれ違った、そのひとは青い…

蛾は夏の獣

七夕の前夜なんだから友達と会えたって良いだろうに

Sから連絡が来る夢を見た。 何度電話がかかってきても、どうしてもそれをとることができない。近くにいるようなのに、どうしても会うことができない。 だけれど近くにはいるはずだから、もう会える、なにより生きているのだから、わたしは彼に会える。そう思…