暫定セックス

マッシュルームカットになって、さっきまで首のあたりどとぐろを巻いていた髪、男のために切り男のために伸ばしてきた髪が今頃は遠く世田谷の美容室でフローリングの目に詰まっている。おかしな話だ。
下北沢で、初恋の男のひととすれ違った、そのひとは青いTシャツを着ていて、最後にみたときの姿と変わらなかった。目が合ったと思う、気が付かれなかったか、無視されるかした。わたしは三つ年上のはずのそのひとの年齢を、もう追い抜いてしまっている気がした。むかし高く見えていた身長は、あまり変わらなくなっていた。