2009-01-01から1年間の記事一覧

「私は私を入れるような倶楽部には入りたくない」

髪を黒く染めた。自分の映っているのやそのほか大学生の作った映画をいくつかみて、画面に映るならば断然黒髪、それ以外にないと確信して黒く染めた。何せ表情が美しい。返す光、落とす影の美しさ。光にも青く透けるよな、真っ黒い髪でいたかったけれどそこ…

ボキャブラ地獄

端的に語ることができないでいる。

告知

プログラムD、短編集のうちのひとつで演じています。

ひとたび自分の心臓に神経を向けると鼓動が速まっていってやがて不安に陥る。わたしに言わせれば自分の鼓動を気にしてしまうこと自体がもうすでに不安の前兆というか、始まりで、そういう自分に気づいて意識を逸らそうとしてもそれはあまり役に立たない。そ…

目を閉じると見知らぬ物音がある。頭の中、というよりかは耳の斜め後ろから、音楽や衣擦れや、人の話す声その交わされる言葉が空気を伴って聞こえてくる。感ぜられる。人の息が、ざらざらとした擦れる感じに耳にかかるような気すらする。こわい

花から生えていた

目を開けると殺風景な地面にひとつ花が咲いてあって、頼りなげな茎がしなってそれを危うく差し出していた。 首をひねろうとすると頭のてっぺんに突っ張る感触がある。 わたしは、自分が気根だったことを思い出した。 「地上部は枯れる。」そういう言葉が頭に…

小さな虫が目の中に目についてきにかかる。 虫の羽は硬く光沢があるらしく白く一点光ってそこから彼のからだの輪郭をたどることができる。 虫はひたすらわたしの虹彩の縁をぐるぐると廻っていっこうに飛び上ろうとしない。どうやら底にたまった油でも舐めて…

ニッキ

さいきん、フリーメールの類やなんやかやとあるweb上のサービスなどのパスワードが変わってしまっている。設定した筈のものを打ちこんでも、ログインができない。ひとつやふたつ、それもたまにしか使わないものならば自分の覚え間違いかとも思うけれど、頻繁…

わたしの神様になってよ

0411/奪われるのを待っている

夢の中で、その男のひとは新興宗教の神様のようだった。 地下に広がる大きなライブハウスの天井に吊るされた妙なかたちのオブジェの上で、そのひとは嬉しそうに人殺しを計画した。観光バスをライブハウスの内側から発車させて、表で演奏しているバンドを牽き…

オナニズム

吉祥寺方面へ行く井の頭線は朝のラッシュでも座ることができて、久我山かそこらのあたりで満開の桜の枝にうずまるようになって走ってゆく。民家の屋根が窓に平行にみえるのは、小田急線とあんまり変わりない。花見は一度した。夜の暗闇のために人の顔は良く…

十代の灯

掃き溜めのように人の集まって空気の澱んだライブハウスの階段の底でうずくまり泥のように酔った。わたしはポリエステルのエンジ色のシャツに学校で着ていたラルフローレンのセーターと同じくサイズのやたら大きいピーコート、長ズボン、ドクターマーチンの…

survive

いつかわたしの全ては粘膜だった。皮膚を翻さないとやっていけないこともあるのよ、でもいやだな

ちゃんと見抜いてよ

ひかるあかいさかな

渓谷に流れる海の水を覗き込むツアーをしている。水は透き通っていてガラスを通してみているように魚たちの泳いでいるのがよく見える。色が川のそれとは違う色をしているので淡水ではないのだとわかった。 深いところにはサンショウウオのような生き物の影が…

感触

変わった男の子の背中にしなだれかかって、バイクの後ろに乗っていた。シャツの裾から手を入れてまさぐると、彼はごく痩せていて、背骨の硬い凹凸が若くて新鮮だ。女のからだと違って、男のそれは本来硬い。 背骨の節をひとつひとつ触指の先で撫ぜ、強い毛を…

私の処女喪失

外が面白いことになっているから目を覚ましてごらん。と起こされた。雪なのかときくと母親はにやにやしてちがうといって行ってしまうので父にきくと、浅間山が噴火して火山灰が降り積もっているという。たしかに見てみると車やビーチサンダルが白っぽく埃を…

ダンパ

ダンパ、という毛あしの長いパンダの模様の四足歩行の哺乳類がいて、その垂れた長い耳を引っ張って連れ歩く。

生活

心情とかなんとかはもはや無視してしまって表に現れている出来事の動きだけを書き留めることはかえって自分の視点というのを明らかにするものではなかろうかね。

松井と出会う。 わたしは松井を松井と知らずに話しかけて、松井が去り際に、「あ!松井だ!」と気がつく。 松井は気まずそうだった。

嘘をつくなら最後まできっちりつかねばなるまい、それが責任というものだ。

百年生きる

齢・百歳を越えた曾祖母がいよいよ危うくなってきた、という話が去年の終わりごろからあって、耳は聞こえなくともよく筆談し、またしゃべっていた曾祖母、さいきんは一言も喋らないらしい。 百年も生きれば肌はやわらかくなりすぎて注射の針を入れられないの…

初夢

tさんと、道に落ちていた靴を拾って売ろうとする。 靴の片方は水溜まりに、もう片方は「マリーナ」に落ちていて、その水は緑に濁っていてきれいでない。この「マリーナ」は、海辺ではないけれど、海の水を池のように囲ってつくってあって中央に島がある。い…