感触

変わった男の子の背中にしなだれかかって、バイクの後ろに乗っていた。シャツの裾から手を入れてまさぐると、彼はごく痩せていて、背骨の硬い凹凸が若くて新鮮だ。女のからだと違って、男のそれは本来硬い。
背骨の節をひとつひとつ触指の先で撫ぜ、強い毛を触ると身を捩ってくすぐったがる。わたしは優位に立つことが嫌いではない。からかうように名前を親しく呼んで頬を寄せるのは心地よかった。若い体の硬く細い輪郭をなぞりながら、前にもこんな風に男の子を呼んでいたことがあったんだよ、でもその子はいなくなったんだ、という話をわたしはした。彼にも同じことをしたかったかと言われればそうではないけれど、いま触っている背骨の感触は想像してみたそれだった。
同い年の男の子を親しく呼んで、体に触れるようなときはもう自分に来ないだろうと思っていたから、わたしは幸せだった。そう思ってしまった以上、恋人とは時期を見て別れよう、恋人は泣くだろうな、死ぬかもしれないな、そう考えるのは気が重いことだった。
目が覚めてからつらくなった。