0411/奪われるのを待っている

夢の中で、その男のひとは新興宗教の神様のようだった。
地下に広がる大きなライブハウスの天井に吊るされた妙なかたちのオブジェの上で、そのひとは嬉しそうに人殺しを計画した。観光バスをライブハウスの内側から発車させて、表で演奏しているバンドを牽き殺そうと言うのだ。地下には熱気が満ち満ちて、視線はすべてオブジェの上に集まっていた。オブジェは螺旋階段に似ていた。
黒っぽいシルエットに重なったみんなは、始まるのを待っていた。彼が始めるのを待って彼を熱っぽくみつめていて彼には大きい力があってそれにみながうっとりと屈伏していた。わたしもそのひとりでわたしたちは紛れもなく彼に支配されていた。ひとを数人殺すことなど平気だった。というより、わたしたちはそれを待っていた。大きい力による絶対的な惨劇を待っていた。わたしはそのことすべてが嬉しくて仕方がなかった。全てを任せて完全に服従することは気持ちがよかった。