彼は指をなめて、頭の上にかざした。だがすぐに下ろした。天火の中のように熱いのだ。
「空気の中に、恋の気配がある。ものすごい熱さだ」と、コラン。
「私は立ち上がる。お前は、彼は立ち上がる。我々は、あなたは、彼らは、立ち上がる、立ち上がる、立ち上がる。コップの中から出たいかい」
ネズミは、独りでさっさとコップの中から出て、別に誰の助けも要らないことを証明した。ついでに、おしゃぶりの形にシャボンをかじり取ったのだった。


ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』

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*1:こんな引用をしたからって、別になにか意味があるのじゃない、へんに勘ぐったりしないで!