胎児の夢

たとえば、毒をもった植物はその植物が自ら「毒を分泌して獣に葉を食われないようにしよう」或いは「毒を分泌し自分を口にした獣を復讐のため殺そう」などと意識して毒を生成しているだろうか、していない。植物に「有害・無害」の区別はつかないからである。それではなぜそういう植物が出てきたか。いくつかの種類の中からそういった特徴をもったもの、または既存の種の中で偶然に突然変異を起こした個体というのがなんらかの理由によって生き残り、その個体が種を飛ばしその後も代々その特殊な特徴をもった種が生き残って分布範囲を増やしたというのが実際である。その過程で絶滅していった種は数えきれないだろう。
人間の胎児は胎内で進化の過程をなぞり成長してゆくという。ではそのなぞりの途中でもって胎児が進化をやめてしまってその途中の形のままある程度成熟しつるんとうまれてきたらば。どういったことが起こるか。人類は気候の変化によってメツボーへ向かい、奇形児が各地でうまれる。奇形児たちは、それぞれ、進化の過程の魚のようであったり両生類のようであったり爬虫類のようであったりする。気候の変化が進行する。地球は灼熱となり雨が多量に降るようになり地面はいつでも熱くじとじとと沼のようになっている。それまでの人間たちは対策を講じるが時すでに遅し、じわじわと滅びていく。荒廃した街に取り残された奇形児たちは、その身体の特徴が通常の人間よりも新しい環境に適していたので細々と生き残り、繁殖しはじめる。そうして生まれた新しい地球の生物、魚人間、爬虫類人間、両生類人間は生きるためだけに生きていたのでその後地球は長い年月をかけ、元来の状態に戻っていった。あるとき、両生類の粘液の肌の両親から、産毛のあるやわらかな粘液を出さない肉色の肌をした子供が生まれる。両親はそれを気味悪がり秘密裏に殺してしまった。その後そのような子供はどこでも生まれず人間という種は滅んだのであった!
白昼に考えたでたらめな話。
わたしたちはいずれ滅びるんです、生き残れなかったら生き残れなかったらで、自然の摂理ですから仕方がないのです。甘んじて首でも吊りましょう。たとえ地球の生物が全て滅びても、それは悲しいことではなくて、ただそういうことだった、というだけのお話。
眠たくないときに加筆修正したいものです。