なんでそんなオルタナキッズみたいなズボンはいてるんですか?

オーディオの好きなひとが、スピーカーによる音の再現性のちがいについて話をしてくれた。
わたしにとってはちんぷんかんぷんだったし、実際そういう顔をしていたらしくて、興味なさそうですね、と言われてしまったけれど、概念がちょっと理解しづらくて考えてただけなんだ。
たとえば拍手の音のようなものは、現実で、実際に鳴っている音のように鳴らすことというのはなかなか難しいんだそうだ(音の立ち上がりがなんとか、と言ってたけどそういうのよくわからないや)。わたしは、じゃあここでいまわたしが拍手をするのが、どんな高級なスピーカー使うよりいい音なんですね?というような無粋ともとれることを言ったと思う。
それからずっとそのことを考えてた。
かなりおおざっぱにまとめてしまえば、要は彼の言っていることは、媒体を通すと情報は濁ったり変化したりするということなんだなと。わたしはそういうことよく考えていて、季節を、どれだけ都合よく記憶するための言葉にできるか、そういうのときっと同じことなんだな、と、思った。
それから媒体を通した情報というのは、ナマの情報そのものにかなわないんだということも。メールで言葉を交わすより電話で、電話で言葉を交わすより生身で会って話すことには、どれだけの膨大な情報量の違いがあるか。相手の瞬き、服のくたびれかた、声の響き、そうだその声の響きだって実際にきくのと電話できくのとでは全然違うんだ。
だからいまあなたとこうして現実のあなたと顔つきあわせて会っているんですよ、と言えばよかった。