再び、ヒロくんについて

野狐禅竹原ピストルさんの歌の話になり、「なんだかこわい歌を歌っていた」とひとが話すので、どんな歌?と訊いて、「例えばヒロ、お前がそうだったように」という、題名もそのままにヒロくんの歌が歌われていることを知った。
ヒロくんについてはここだけではなく色々なところで何度も書いているのだけれど、わたしは彼のこと死ぬ半年前くらいからしか知らなくて、たいしたこともしなかったし、わたしと彼がつるんでいたこと知っている人も少ないと思う。
彼が死んだときはわたし本当に、やあ彼らしい最後だった、生き様死に様あっぱれだったと思ってけらけら笑ったのだが、ひとの勧めでその竹原ピストルさんの歌を聴いたら、本当に零れ落ちるように涙が出て自分でも驚いてしまった。ヒロくんのことについてわたしが泣いたのは彼が死んで三年目か、初めてだった。
わたしは完結したつもりでいたけれど、どこか引っかかる気持ちがあったのだろう。
生前ヒロくんには、歌にも歌われている竹原ピストルさんのギターをみせてもらったことがある。「これ、野狐禅てバンドのひとにもらったんだ」と自慢げに言ってきたのだけれど、わたしは野狐禅を知らなかった。
手をつないだときのヒロくんの薬漬けの冷えた死人のような手を思い出す。わたしの浮腫んだ顔はますます彼に似てきた。