わたしはわたしをあんなに激しく憎んでいたのにそのことさえ忘れてしまった。あんなにわたしのなかにあった言葉はすべてがらくたになってしまった。わたしに言葉はもはや無い。わたしは愚鈍で劣っていて頭が悪くさらにそのうえに妙な奢りを積み上げてしまった。自分を殺す情景を想像するのさえ、今はもうただお遊びだ。
本当に、心から笑えるようになって、そうして安定してしまって、自らをもすべて肯定できるようになって、傷だって気を引くためだけになって深刻さは深刻ぶりになってわたしはそのとき本当に死んだ。ひとあし 自分でなかった生き物になった。あんなに絡んでいた意図はすべて消えうせた。わたしの言葉がかえってこないならわたしの言葉がすすめないというならわたしは八方ふさがりだ、ほんとうに。わたしは言葉をなくした。完全になくしてしまった。考えることから逃れる術を覚えてわたしは死んだ。わたしは死んでしまったのだった。死んでしまったからだでこのあとどうして生きていかれようか。こんな風にして。死んでしまいたい、今、意図して避け続けてきたこの言葉を本当に言いたい、死んでしまいたい。明日会うひとに心配をかけたいわけではない。ただ死んでしまいたい。わたしは言葉をなくした。知らない間に言葉をなくした。自己嫌悪にまみれて身動きの取れなかった日に戻りたい。毎晩手首を切っていたころの方がよっぽど今より良かった。わたしは死んでしまった。わたしは埋葬されるべきだ。わたしの脳みそにはもうなにもないのだから。わたしのこころにはもう何もないのだから。ポーズの取り方すら忘れた。