わたしを呪わないでください!

人から発せられるひとつひとつの言葉にはきっと、姿の見えない気配だけのおばけのようなものがくっついていて、それがわたしの上につみかさなって、のしかかり、わたしの気持ちを弱くさせ、体を疲れさせ、動きを鈍らせる。おばけはいないのかもしれない。わたしがつくりだしているだけなのかもしれない。けれどわたしがいると信じているのだから、わたしにとってそのおばけは本当にいて、ひとつひとつ言葉を受ける度に体にそれを引き寄せる。
おばけというのは感情といってもいいし本心といってもいいし言葉自体の持つニュアンスであるといってもいい。
そのひとがわたしのことをどう思っているにしろわたしは疎まれているような気がしてしまうので、わたしはそのひとが実際に、悪意や嫌厭の念を持っているか否かに関わらず、発せられる言葉のひとつひとつに呪われてしまう。
言葉の通じるひとが少ないというのも原因ではあるんだろう。女子高生は矢継ぎ早に言葉を繰り出すので言葉を選んで応対することができないことも。
生活がまるで花輪和一の漫画だ。漫画にしてもらいたい。