20100730

草原は深くわたしたちは夜を泳ぐ星のように草を渡り
手を結ぶようにして絡まる草の真似をしてとっくみあい
ちいさな雨のような声を立て、ずっと笑い通し
いつかどこかへ忘れてきたわたしたちの小さな骨は散り散りのばらばらになってしまったから
わたしたちのからだは、どこまでも広いのです
液状になった夜は、わたしたちのからだのすみずみまで流れ込んでいて
もうわたしたちは夜になっています
いつか白々しい朝がやって来るとしても、その頃には
わたしたちふたりはもうするりとすべるように次の街へ逃げ出す手筈も出来ているのです
ただひとつだけ
わたしは、置き去りにした幼い自分の影のことだけが
気にかかってしようがないですが