それに男は気づかない

いつまでも続くかと思われたおそろしいような暑さも、吹き出物が潰れたように枯れ、粘つく膿に蝉の声をひきずって静かに夏が死にゆく。空の腹を見せて死んでいる蝉の数ばかりが増える。
気温が下がるとつい感傷に浸りがちになる。体が急に輪郭を取り戻して、うら寂しくなるからかと思う。
「手に入らないものやなくしたものばかり欲しがるくせはいつなおるのでしょうね、   さん」


東京ガールズブラボーのサカエちゃんのように、同い年の女の子の友達と馬鹿騒ぎしたい。
髪が伸びてやっとすこし女らしくみえるようになったので、自分の外見に興味が戻ってきた。
刈上げのボブにしたところ、「年相応にみえるようになったね」と言われて複雑だ。第一に、元々そんなに歳を食ってみえていたのかということ。第二に、黒髪で昭和の女の子のような髪型にしたことで、年相応の下手な自意識が醸されるようになったのかということ。不思議ちゃんになるのだけは避けたい。
ああでも大学へ入ったらきっとどこかで一度は「わたし、よく変わってるっていわれるんですー、自分ではそんなつもりないんですけどー」というの、やってみようとは思っているけれど。もちろんそれはいつかの笑い話にするために。
いまは本当に何も書けない。無理に絞り出そうとしたって。