桜よりすこしはやく木蓮やコブシの勢いよく白く花をつけるのが好ましい。新宿ではその清々しい白い花もなんとなく瀕死であったけれどそれでもさくらやの電気を尻目に夜の中妙に白く明るかった。家の近所でまだあまり花もなく殺風景な農家の敷地の針葉樹の間に咲く木蓮は神々しいような気さえする。こんなにこの白く大きな花に興味をもったのは今年が初めてだ。
この頃は春めいてきて花が咲いたり草が繁ったりしてくるのでそういったもののことにばかり気を取られる。
深刻な態度こそ事態を無暗に深刻なようにするのだろう、考える必要はあれどそういった脚色は余計だ。